
■田中秀臣『AKB48の経済学』朝日新聞出版、2010年
目次
第1章 不況に強いビジネスモデル
2章 デフレ不況で増殖する「心の消費」
3章 全国的に認知された「おたく市場」
4章 大相撲とAKB48の日本型雇用
5章 アイドルグループの経済分析
6章 「ローカル」か「グローバル」か
7章 アイドル高年齢化のその後
本書は、AKB48のビジネスモデルとファンの消費行動を「経済学的視点」から分析し、その背後にある日本経済の現状を捉えようと試みている。
要旨は、AKB48は、デフレの下で安価な「心の消費」財を求める若者層を対象とする時代適合的なビジネスモデルである、ということだ。
具体的には、AKB48の劇場公演チケットやファングッズが安価であること、ブログや握手会を通じた個人的な結びつきを重視するファンとのコミュニケーションなどが挙げられており、これが学生やフリーターといった「時間はあるが金はない」若者層を捉えているとする。
面白かったところ。
サブカル文化論を「経済学的」に読み替えたところ。
大塚英志、東浩紀、宇野常寛らのポストモダン・文化論を援用して、AKB48の消費形態や競争構造を説明しているが、それら理論が元来、社会的・国際的要因から説明していたのに対し、本書では経済的要因から説明し直している点が新奇に映った。
内部マネジメントの構造を相撲との相似で説明したところ。
所属先、競争原理、雇用形態、ファン重視。これらの点で大相撲とAKB48は似ている。特に、年功序列と実力主義の併存や、地方巡業と全国握手会の相似を指摘しているのはウマイ。宝塚との近似では説明しきれない部分を言い当てている。
よくなかったところ。
著者は「経済学」にもAKB48にも詳しくないのでは。
僕自身、両者に詳しくないので誤りかも知れないが、デフレの原因を中央銀行の失策に帰す説明は雑過ぎるし、本文中で数少なく引用されている経済学の理論も上手く当てはめられていない。第5章でのパッケージ売の利点についても怪しい。
AKB48については、第7章でのメンバー分類マトリクスでのプロットの仕方に全然納得いかないし、「AKB48ファンの大部分=オタク=二次元志向、よって渡辺麻友と板野友美が人気」という説明にいたっては意味不明。板野友美を「アゲ嬢」系とするのも著者の若者観を疑う。
☆
「世のお父さん方、これを読めばAKB48のこと分かった気になれるよ」
そんな風な本だと思う。
日本経済にもAKB48にも、もっと正面からちゃんと向き合ってほしいw
(H・ω・M)
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